フィナステリドは飲み続けると耐性ができるのか?
AGA治療の第一選択薬として選ばれることの多いプロペシアの有効成分「フィナステリド」ですが、継続して飲み続けても耐性ができるとは断言できない成分です。
臨床試験などでもフィナステリドの薬剤耐性に関する報告はされていません。
しかしフィナステリドの服用を続けている方の中に、一定の割合で効果が実感できなくなったと感じる方もいます。
フィナステリドの耐性を解明するために、次の項目では医薬品の耐性について解説します。
医薬品の「耐性」について解説
同じ医薬品を長期間服用していると、だんだん効かなくなってきて使用量が増えてしまうことを「耐性」といいます。
睡眠薬は長期服用することで体が慣れ「耐性」がついてしまい、量を増やさないと効かなくなる医薬品です。
耐性に関してはアルコールも同様で、酔いにくくなるため次第に飲酒量が増えていきます。
しかしすべての医薬品で耐性ができるわけではなく、フィナステリドに耐性は確認されていません。
フィナステリドの耐性ができていないのに、なぜ薄毛が進行してしまうのか?
フィナステリドに対する耐性ができていないのに、薄毛が進行してしまう場合は以下の原因が考えられます。
- 毛母細胞の減少
- 過度な飲酒
- 喫煙
- 服用方法が間違っている
上記に関してひとつずつ説明していきます。
毛母細胞の減少
髪の毛の地肌の中にある部分を毛根と呼びますが、この毛根の中の一番深い部分に司令塔である毛乳頭があり、その周辺に毛母細胞があります。
髪の毛はこの毛母細胞が分裂することで成長しますが、加齢と共に毛母細胞は減少してしまいます。
フィナステリドは毛根の働きを低下させる酵素を阻害する医薬品のため、毛根の働きそのものを活性化させるような効果はありません。
そのため加齢などの理由により毛母細胞が減少すると、フィナステリドを服用していても抜け毛や薄毛が目立つようになってしまいます。
フィナステリドは脱毛を防ぐ目的で使用される医薬品のため、発毛させるというよりは現状維持に向いています。
過度な飲酒
適度な飲酒は体に良いとされていますが、お酒の量が多いと以下の理由で薄毛の進行につながります。
- 髪の成長に必要なアミノ酸がアルコール分解に使用される
- 薄毛の原因となる物質ジヒドロテストステロンの増加
- 糖質の過剰摂取による血行不良
- 睡眠の質の低下による成長ホルモン分泌の減少
体の中にアルコールが入ると肝臓でアセトアルデヒドに分解され、脱水素酵素により無害な物質へ分解されますが、過剰な飲酒により分解が間に合わなくなると、髪の成長に必要なアミノ酸を使い、分解します。
また過剰な飲酒によって体内に大量のアセトアルデヒドが残るとAGAの原因となる物質
ジヒドロテストステロンが増加し、薄毛が進行します。
その他糖質が高い種類のアルコールやおつまみなどの取りすぎで太ってしまい、血行不良になる可能性があります。
またアルコールは眠りを浅くするため、睡眠の質が低下し成長ホルモンの分泌が減少することで毛母細胞が活性化しなくなり、薄毛へとつながります。
過度な飲酒は髪によくないため、慎んだ方がよいでしょう。
▶フィナステリドとお酒の併用について詳しく知りたい方はコチラ
喫煙
たばこにはニコチンが含まれていますが、煙と共にニコチンを体内に取り込むことで毛細血管が収縮し、体内の血流の量が低下します。
血流が悪くなると髪へ栄養が届きにくくなるため薄毛につながります。
また、たばこを吸うと男性ホルモンが増えるという海外の研究結果報告もあります。
体内で男性ホルモンが増えると酵素と結びついて薄毛の原因となるジヒドロテストステロンの発生量も増えるため、薄毛になりたくない方は喫煙量を減らすか、禁煙することをおすすめします。
服用方法が誤っている
フィナステリドは服用方法に間違いがあると十分な効果を得ることができません。
服用方法:1日1回 1錠
フィナステリドの効果は24時間しか続かないため、1日1回1錠を服用する際は毎日同じ時間帯にする必要があります。
服用する時間にばらつきがあったり、飲み忘れがあったりすると、体内にフィナステリドが存在しない期間が発生し、効果を得られない可能性があります。
フィナステリドの長期使用で効果が薄れる場合の対策
フィナステリドに耐性はありませんが、長期で使用しているとさまざまな理由で次第に効果を実感できなくなる場合があります。
そのときは他のAGA治療薬に変更、または併用することで再びはっきりと効果を実感できるようになるため、次の項目で以下の内容について説明します。
- フィナステリドとミノキシジルの併用
- フィナステリドからデュタステリドへの変更(代替薬)
フィナステリドとミノキシジルの併用
フィナステリドは抜け毛を減らし現状維持に向いている医薬品ですが、ミノキシジルは「発毛を促進」する医薬品です。
ミノキシジルには直接毛母細胞を活性化し、発毛させる効果があります。
そのため作用の違うミノキシジルと併用することで、フィナステリドの長期使用によりあまり実感できなくなってきた効果を取り戻すことができます。
また抜け毛を減らすフィナステリドと発毛を促進するミノキシジルの併用で、フィナステリドを単体で使用していた時よりもさらに効果的なAGAの治療が可能となります。
フィナステリドからデュタステリドへの変更(代替薬)
フィナステリドの長期使用により効果が実感できなくなってきた場合、他のAGA治療薬へ変更するという方法もあります。
ザガーロという治療薬の有効成分デュタステリドは、フィナステリドと同じ抜け毛を予防し現状維持に向いているAGA治療薬ですが、フィナステリドよりも高い効果が期待できます。
薄毛は、男性ホルモンに体内酵素の「5αリダクターゼ」が結びついて生成されるジヒドロテストステロンによって毛母細胞が委縮させられることで起こります。
この5αリダクターゼには1型と2型という2種類のタイプがあり、フィナステリドが2型のみに作用するのに対し、デュタステリドは1型と2型の両方に作用します。
1型は主に側頭部や後頭部に存在し、2型は生え際や前頭部、頭頂部に多く存在しています。そのため主に前頭部や頭頂部に効果があるフィナステリドで効果を感じなくなっても、頭部全体に効果があるデュタステリドに変えることで、再び医薬品の効果を実感できます。
デュタステリドも作用としてはフィナステリドと同じため、発毛効果のあるミノキシジルと併用することで高い効果のAGA治療をおこなうことが可能です。
商品 | デュタス(ザガーロ) | プロペシア |
---|---|---|
有効成分 | デュタステリド | フィナステリド |
阻害酵素 | 1型、2型 | 2型のみ |
有効範囲 | 頭部全体 | 前頭部・頭頂部 |
効果 | ・抜け毛の抑制 ・ヘアサイクルの正常化 | ・抜け毛の抑制 ・ヘアサイクルの正常化 |
体内作用時間 | 4週間 | 6~8時間 |
副作用 | 勃起不全、性欲減退、精液減少 | 勃起不全、性欲減退、精液減少、 射精障害、胃部不快感、下痢など |
併用禁忌薬 | なし | なし |
服用できない方 | ・本剤の有効成分および 5α還元酵素阻害薬に対して 過敏症の既往歴がある方 ・妊婦、散布、授乳婦 、小児等 重度の肝機能障害のある方 | ・本剤の有効成分および 5α還元酵素阻害薬に対して 過敏症の既往歴がある方 ・妊婦、散布、授乳婦 、小児等 |
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