バイアグラ等のED治療薬が2022年4月から保険適用に
EDの治療は、以前は自由診療の名目で保険適用外でしたが、2022年の4月以降は条件付きで保険が適用されるようになりました。
厚生労働省から発表されたことで一時期は不妊治療に悩む夫婦の間で話題を集めました。
近年の少子高齢化の対策として適用されたものですが、子供を持ちたいのにEDが理由でできなかった方々には嬉しい知らせになったことでしょう。
保険が適用される治療薬は、バイアグラなどを含めた6成分16品目です。
保険適用される6成分16品目一覧
ED治療として保険適用されるのは、以下の6成分16品目です。
医薬品名 | 成分名 | 成分量 |
バイアグラ錠 | シルデナフィルクエン酸塩 | 25mg/50mg |
バイアグラODフィルム | シルデナフィルクエン酸塩 | 25mg/50mg |
シアリス錠 | タダラフィル | 5mg/10mg/20mg |
レコベル皮下注 | ホリトロピンデルタ (遺伝子組換え) | 12μgペン/36μgペン/72μgペン |
ガニレスト皮下注 | ガニレリクス酢酸塩 | 0.25mgシリンジ |
セトロタイド注射用 | セトロレリクス酢酸塩 | 0.25mg |
ルテウム膣用坐剤 | プロゲステロン | 400mg |
ウトロゲスタン膣用カプセル | プロゲステロン | 200mg |
ルティナス膣錠 | プロゲステロン | 100mg |
ワンクリノン膣用ゲル | プロゲステロン | 90mg |
ED治療薬が保険適用される条件について
ED治療薬は保険適用となりましたが、あくまでも治療において使われるという前提があることから、しっかりした条件が存在します。
治療と言っても男性機能の回復を目的としていますが、その回復に関しても不妊治療を目的としていることは言うまでもありません。
少子化への対応という形で適用されることになったため、以下のような条件を満たす必要があります。
病院側、患者側双方に求められますが、薬の処方にも条件がありますので、保険の適用を考えている方は確認しておきましょう。
病院側(ED治療薬を処方する側)に求められる条件
病院側がED治療薬を処方する際は、まず泌尿器科で5年以上経験を持っている医師でなければ処方できないことが定められています。
それなりの経験が必要であるという点は、薬の処方において絶対条件と言えます。
ただ、近くにその条件を満たせる医師が存在せず、他の条件を満たせる医療機関への紹介が出来ない場合においては例外的に処方が許されます。
これについても、もちろん一般不妊治療管理料に関する届け出を出している機関であることが条件になります。
そして、患者さんが別の医療機関で不妊であることを認められ、その紹介を受けて治療を引き受ける時は、先の医療機関と密な連携をして必要となる情報を共有しなければいけません。
医療機関同士は専門的な医療の実施をするために、基本的に紹介制が行われています。
その際には、事細かな情報の共有もされています。
これは患者さんに関する些細な情報の漏れが、後に重大な問題へと繋がらないようにするための大切な処置であり、ED治療においてもそれを守る必要があるからです。
患者側(ED治療薬を処方すれる側)に求められる条件
病院側に条件があるように、患者側にも保険適用されるためには当然条件が存在します。
まず日本泌尿器科学会が提出している診療ガイドラインが定める診断において、EDであると認められなければいけません。
これは正しい診断結果が必要でなければ医薬品が処方されないということであり、どんな薬であっても同じことが言えます。
医師の判断による薬の処方であり、患者さんが自己診断でEDと言っても適用されないということです。
そして、上記の条件にも似通っていますが、患者さんかそのパートナーのどちらかが6ヶ月遡って一般不妊治療管理料や生殖補助医療管理料に関する管理を受けている必要があります。
つまりは過去6ヶ月以内に不妊治療を受けているという確認が必要になるということです。
保険の適用を受けるということは、国が設けた不妊治療に対する処置を目的としています。
そのため単なる性行為を目的としてではなく、あくまでも不妊治療の証明が保険を使える対象になっています。
薬の処方に関する条件
薬は医師による処方箋によって保険が適用されますが、それにもいくつかの細かい条件があります。
まず処方される薬の量ですが、これは1度の処方につき4錠以下と定められています。
医師の診察においての処方できる量が、タイミング法において1周期分と決められているからです。
さらに何度か繰り返して状態を見る必要があるときは、6ヶ月分までとしています。
この期間を超えて薬を続ける場合は、継続させるべき理由が必要です。
その理由も医師へ伝える必要があります。
また継続となったときは、最初に投与を開始してから1年以内と定めています。
そして、これは事務的な条件とも言えますが、保険診療である旨を処方箋の備考欄に記載しておかなければいけません。
どれも医師や薬剤師に関わってくるルール的な条件と言えます。
しかし、治療薬の保険適用という国による厳しい管理の下で使用できるようになった条件ですので、不妊治療に悩む方にとっては喜ばしいことでしょう。
ED治療薬の保険適用は、現状だとかなりハードルが高い
ED治療薬が保険適用になったことで、誰でもバイアグラなどのED治療薬が保険適用になると思われがちです。
しかし、実態はそこまで甘くはありません。
上記に挙げた条件のすべてをクリアしなければ保険の適用にはならないからです。
実際にEDで悩んでいる人は、上記の条件に当てはまらない方も大勢います。
不妊治療だけが目的では、普通に性行為ができない人は切り捨てられてしまいます。
もし、保険が適用されても一度に処方されるのは4錠だけというのも厳しい現実と言えるでしょう。
ED治療薬の保険適用が難しい場合は、ジェネリック医薬品も検討しましょう
確かに保険適用は治療薬が格安で手に入れられるという点で魅力的に思えます。
しかし、条件にそぐわない人は最初から使うことができません。
不妊治療と関係なくED治療を行いたい場合は、自由診療の医療機関で処方を受けるか、個人輸入を利用した通販での購入となります。
バイアグラやシアリスなどはジェネリック医薬品もあり、保険を利用しなくてもある程度安価に購入することができます。
通院の有無や治療費などを考慮しながら、ご自分に合った方法でEDの治療を検討してみてはいかがでしょうか。