フィナステリドとは、AGAを発症させる原因と言われているジヒドロテストステロンという男性ホルモンの一種の生成を抑える成分のことです。
AGAなど薄毛になるのを抑えて、正常なヘアサイクルの状態に戻すという根本的な治療を目的とする薬になります。
内服薬ですので服用することでその効果を実感できます。
先発薬としてよく知られているプロペシアがAGA治療薬として長く使われてきましたが、現在ではジェネリック医薬品もいくつか登場しています。
効果が期待できるフィナステリドですが、それが原因で勃起不全を発症したという話もあるようです。
その実態について解説していきます。
フィナステリドが原因でたたない(勃起不全)になることはあり得るのか?
様々な噂が独り歩きをしているようで、フィナステリドを長らく服用しているとたたなくなる、つまりは勃起不全になるという話がまことしやかに囁かれています。
結論から言えば、フィナステリドなどのAGA治療薬を服用した際に勃起不全が起きる頻度は非常に少ないと言えます。
副作用としてないわけではないようですが、頻度的には1%未満程度と言われています。
実際に治療を受けている方が勃起する時の硬さが柔らかくなった、持続時間が短くなったという話をすることもあるようですが、完全に勃起をしなくなったというケースはほとんどありません。
勃起力の低下と言う現象も、個人の感想に近いものですので気にする必要ありませんが、実際にたたなくなる方もいるようですので、その理由を紹介します。
参考:医療用医薬品 : フィナステリド(副作用)
フィナステリドでたたない(勃起不全)状態になるメカニズム
フィナステリドを服用したことで一部の方は勃起不全になることもあるようですので、何故そのようなことになるのかメカニズムについて解説します。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは性欲を感じたり、性機能を維持する役目だけでなく、筋肉を維持したり、脂肪を燃焼させたり、血管の機能を維持するのに必要です。
そのテストステロンは、5-αリダクターゼという還元酵素と結ばれることでジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる他の男性ホルモンへ変化します。
このジヒドロテストステロンの持っている影響力がかなり強いことから、AGAや前立腺の肥大などを起こすのです。
フィナステリドと言う成分は、このジヒドロテストステロンを作り出す原因となった5-αリダクターゼを阻害することができます。
結果としてジヒドロテストステロンは作られなくなり、AGAの発生を抑えることができるということです。
ジヒドロテストステロンの生成を抑えているということは、同時に男性ホルモン自体を抑えるということにもなります。
男性ホルモンは性欲や性機能を維持していることから、必然的に欲も抑えられることになるのです。
そういった理由から、一部の方は勃起不全や性欲減退などの症状を引き起こしていると考えられます。
心因性EDの可能性
フィナステリドを服用した際に、勃起不全つまりはEDを発症するという可能性はかなり低いようです。
ただ、中には本気で心配し過ぎていることが原因で発症する可能性はあるかもしれません。
よくある理由として、フィナステリドの副作用でEDになると思い込み過ぎる心理が働くことです。
自己暗示に近い状態でストレスを感じると、その不安から本当にEDを発症する可能性があり、これは俗に言う心因性EDと呼ばれる状態でもあります。
日本の臨床試験でもほとんどそういった副作用はなかったことが判明していますので、フィナステリドを服用する際はあまり気にし過ぎないことが大切です。
フィナステリド服用後にたたない状態(勃起不全)になった場合の対処法
フィナステリドを服用しても、副作用で勃起不全になる心配はありません。
しかし、実際に服用したらたたなくなったという方もいるかもしれません。
焦ってしまい、余計に追い詰められた気持ちになるでしょう。
仮に、そうなったときの対処法も知っておくと安心できるのではないでしょうか。
フィナステリドの服用を中止する
勃起不全に陥ったと感じたら、まずはフィナステリドの服用を中止しましょう。
薬が原因でEDを発症しているのであれば、薬を飲むことを止めれば自然に元に戻るはずです。
どんなに体にいい薬であったとしても、もし変調を生じるほどの副作用が発生すれば服用自体が中止されます。
それはフィナステリドも同じです。
もし勃起不全になったと感じたら、フィナステリドを飲むことをやめて、しばらくは様子を見るといいでしょう。
薬の服用をやめれば、勃起不全も改善するかもしれません。
フィナステリドの服用量を減らす
フィナステリドの服用をやめたことで勃起不全が改善したとしても、AGAであることに代わりはありません。
そのため薄毛治療を再度始めたいという方は、最初に服用していた量よりも少ないものに変えましょう。
用量が多い薬の方が薄毛治療には効果が期待できますが、副作用がまた発生したら意味がないので、用量を少なめにして再出発することをおすすめします。
薬に含まれている成分の強さが何らかの影響を与えた可能性も否めませんので、含まれる成分量の少ない薬を服用するといいでしょう。
様子見しつつ、フィナステリドの服用を続ける
完全な勃起不全と言うわけではなく、軽く勃起力が低下した程度であれば、AGAの治療を優先させたいと考える方もいるでしょう。
そういった方は用量もそのままに、薄毛の治療が完全に終わるまではその状態でいたいと思っているはずです。
様子を見ることは大切ですが、勃起力が低下している状態を放置したままというのも少し問題があります。
実は勃起力が低下しているということは血管の機能自体が低下していることにも繋がります。
その状態を長期間維持すると、AGAを改善してから服用をやめても勃起力が元に戻らなくなる可能性もあるようです。
十分に注意をしてください。
ED治療薬の服用
AGAの治療を優先するか、EDの状態を放置するか、二者選択から選ぶのはあまりにも酷と言えるでしょう。
基本的にフィナステリドの服用でEDになる方はほとんどいませんが、心因性ストレスなどでEDを発症する可能性もゼロではありません。
もしEDになった方は、ED治療薬を併用して服用しましょう。
心因性EDになる方も、治療薬を服用すればEDの改善は可能ですし、併用できることを知っていれば心理的にも安心できるのではないでしょうか。
不安に感じている思い込みも、治療法さえあることが分かれば安心感が勝ると思われます。
フィナステリドでたたない状態(勃起不全)になる内容まとめ
フィナステリドを服用した際に勃起不全に陥る可能性は非常に低く、確率的にも1%未満程度とほとんど見られません。
仮に起きたとしても勃起不全ではなく勃起力の低下ですし、その理由も薬の副作用というよりは心因性のストレスがほとんどです。
心理的に弱い方は気にし過ぎることでEDを発症するかもしれませんが、仮になったとしてもED治療薬を併用して飲むことが可能です。
ED治療の方法を知っていれば、心理的にも安心してAGAの治療を受けられるのではないでしょうか。