低用量ピルの生理への影響
低用量ピルを服用すると、女性の生理に関わる症状にさまざまな影響が現れます。
女性の生理の仕組みは、『黄体ホルモン(プロゲステロン)』と『卵胞ホルモン(エストロゲン)』という2種類の女性ホルモンの分泌量が生理周期の中で増減することで、心身へさまざまな症状を引き起こすものです。
しかし低用量ピルには、有効成分としてこれら2つの女性ホルモンが配合されています。
服用すると2種類の女性ホルモンを摂取することになるため、脳は分泌する必要がないと判断し、体内での女性ホルモンの分泌が少なくなります。
その結果として排卵が休止し、女性の生理や生理に関する諸症状に変化が起こるのです。
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低用量ピルの効果について|効き始めるのはいつ?効果のメカニズムについて解説
生理痛の緩和
低用量ピルの服用は、生理痛を緩和する効果が期待できます。
多くの女性が悩んでいる生理痛の原因は、黄体ホルモン『プロゲステロン』の分泌量の増加によるものです。
プロゲステロンは妊娠に備えるために、子宮内膜を厚くしますが、着床しなかった場合には子宮内膜が体外へ排出されます。
このときに、痛みのもとになる物質『プロスタグランジン』が放出され、子宮を収縮させる作用により生理痛が起こります。
低用量ピルを服用するとプロゲステロンの分泌が減り、子宮の収縮など痛みのプロセスが起こらなくなるため生理痛が改善されるのです。
月経前症候群(PMS)の緩和
低用量ピルの服用により、月経前症候群(PMS)を緩和することができます。
月経前症候群とは、女性の生理の3~10日ほど前に見られる不快な症状のことです。
- 吐き気
- めまい
- むくみ
- 吐き気などつわりのような症状がある
- 頭痛
- イライラ
- うつ症状
これらの症状は、排卵のときにプロゲステロンが大量に分泌されることが原因であると考えられています。
プロゲステロンは妊娠に備える役割を持ち、子宮内膜を厚くする作用があることから体調に影響を及ぼします。
しかし、低用量ピルを服用することでプロゲステロンの分泌量が減少するため、月経前症候群の症状が改善されます。
参考ページ
ピルのはじめかたガイドブック|低用量ピル服用の目的・メリット
生理不順の改善
低用量ピルには、生理不順を改善する効果も期待できます。
普段の周期より生理が早まったり、遅くなったりする生理不順はホルモンバランスの乱れが原因です。
低用量ピルを服用するとホルモンバランスが安定するため、ホルモンバランスの乱れが整い生理不順も改善されます。
しかし生理不順は、子宮や卵巣に関する病気が原因となる場合もあるため、低用量ピルを服用しても生理不順が改善されない場合、念のため医師に相談するようにしてください。
また、低用量ピルは生理日のコントロールも可能で、イベントごとなどに合わせて生理日を移動することができるため、日々のストレス軽減にもつながります。
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低用量ピルで生理日をずらす方法【早める・遅らせる】月経移動の注意点について
月経量の減少
低用量ピルを服用することで、生理のときに排出される月経の量が減少します。
月経量が減少するまでの、簡単なメカニズムを記載します。
ピルを服用
↓
エストロゲンが体内に取り込まれる
↓
エストロゲンが分泌されなくなり、排卵が止まる
↓
排卵が止まり、プロゲステロンも減少
↓
子宮内膜が厚くならなくなり、月経量が減少
生理の際に排出される月経は、女性ホルモンの作用により厚くなった子宮内膜です。
通常であれば、排卵が終わった後にプロゲステロンが大量に分泌され、その働きにより子宮内膜が厚くなります。
着床が起こらなかった場合は厚くなった子宮内膜が、月経として体外に排出されます。
しかしピルには女性ホルモンが配合され、服用することで脳が「エストロゲンの分泌をしなくてもいい」と判断します。
エストロゲンが分泌されないため排卵が止まり、さらに排卵が起こらなくなるとプロゲステロンの分泌量も減少します。
結果的に子宮内膜が厚くなることがなくなり、月経量の減少につながります。
休薬期間に生理(消退出血)が起きる理由
低用量ピルで生理痛を緩和したり、生理周期を整えることはできますが、生理を完全に止めるということはできません。
低用量ピルを服用しない7日間の休薬期間中やプラセボ錠服薬期間中、プロゲステロンとエストロゲンの2種類のホルモンが補充されなくなります。
そのため子宮内膜の厚みを保つことができなくなり、それが剥がれ落ちることで、生理のような『消退出血』と呼ばれる出血が起きるのです。
消退出血は、休薬期間またはプラセボ錠の服用期間に入ってから2~4日程度で起こるのが一般的です。
生理(消退出血)が来ない場合
低用量ピルは正しく服用していれば休薬期間の2~4日目に生理のような「消退出血」がありますが、もしこないようであれば、以下の原因が考えられます。
- 妊娠の可能性
- 子宮内膜の異常
- ピルの休薬期間の誤り
- 吐き気などつわりのような症状がある
- ストレスによる影響
- 病気の可能性
- 痩せすぎや太りすぎ
もし妊娠の可能性が考えられるなら、妊娠検査薬を使用して確認しましょう。
妊娠検査薬は97%の確率で正しい結果が判定できるといわれていますが、陰性でも体調に異変があるときは婦人科で検査してもらうことを推奨します。
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低用量ピル使用中に生理が来ない理由|生理が遅れている場合の対処方法
低用量ピル服用中の生理の特徴
低用量ピルを服用している間の生理の特徴は、主に下記の2つです。
それぞれの特徴とメカニズムについて解説していきます。
生理が短くなる場合が多い
低用量ピルの休薬期間に起こる生理(消退出血)は、通常の生理と比較すると出血の期間に違いがあります。
通常の生理は平均3~5日ほど続きますが、消退出血では通常と同じ、あるいは短期間であることが多いです。
個人差があるものの、人によっては2~3日で出血が終わることもあります。
消退出血が短期間で終わる理由は、通常の生理と違って子宮内膜が厚くなることがなく、経血の排出量が少なくなるためです。
ただし、低用量ピルを服用しているのに出血が長く続いている場合は、何らかの異変が起きている可能性があるため、婦人科を受診することをおすすめします。
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低用量ピルの不正出血について│出血の対応法や低用量ピル以外の原因の紹介
サラサラとした経血になる
通常時の出血と比べると、サラサラしていることが多いのが低用量ピル服用中の生理(消退出血)の特徴です。
生理の際に厚くなる子宮内膜はドロドロとした血のような物質ですが、排出される際には酵素が働くことでサラッとした状態になります。
しかし、人により経血がドロドロとしていることがあるのは、子宮内膜が多すぎたり、一気に排出されたりすることで酵素の働きが間に合わないことが原因です。
一方で低用量ピルの服用中は子宮内膜が薄く、酵素がしっかりと働くためサラサラの状態で排出されます。
低用量ピルと生理に関する質問
低用量ピルと生理に関して、よくある質問をまとめました。
疑問やお悩みのある方は以下の内容を参考にしてみてください。
低用量ピルで生理をコントロールすることでリスクはありますか?
低用量ピルの服用で将来の妊娠に影響はありますか?
ピルの休薬期間なのに生理(出血)が来ないです。どうすればいいですか?
生理中にピルを飲めば止まりますか?
低用量ピルの生理痛への効果は何日目からですか?