喘息の概要と特徴

喘息とは

喘息は、気道に慢性的な炎症が起こった状態のアレルギー疾患です。
以下のような症状が出ます。

・咳(せき)
・喘鳴(ぜんめい)
・呼吸困難

これらの症状を繰り返すのが特徴です。
気道に起こっている炎症の影響で過敏な状態が続いてしまい、アレルギーや運動、感染やストレスなどが喘息発作の引き金になります。

喘息の特徴的な症状

喘息の症状として、はじめは気道が炎症を起こすことで、空気の通り道となる気管や気管支が急に詰まるようになります。
それによって「息苦しい」と感じたり、呼吸をする度に「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった音が聞こえるようになります。
この、呼吸の度に聞こえる音が「喘鳴」になります。
この症状は上に記載した"引き金"になるもの以外にも、タバコや冷気など、日常生活でのちょっとした刺激でも過敏に反応し、喘息症状が誘発されます。

ここから更に症状が悪化し、呼吸が苦しくなってしまうと、横になるのも辛く、座らなければ呼吸が出来なくなります。
これを「起座呼吸(きざこきゅう)」と言います。

また咳以外にも、粘度が強く吐き出すのが難しい「痰(たん)」なども出るようになります。

これらが喘息の発作になり、通常は気管支拡張剤で発作を鎮めます。

しかし、重い症状となってしまうと呼吸が困難な状態が何日間も続いてしまいます。
ですので、かなり苦しい思いをするようになってしまいます。

またこの様な喘息の発作は突然起こり、繰り返し起こる発作と発作の間には、前兆となるような症状らしい症状もないことが特徴です。

気道の炎症が慢性的に続いてしまうことで、気道の壁が厚くなってしまい、内腔が狭くなります。
こうなってしまうと治療を行っても気道の拡張が難しくなり、難治化することが分かっています。

喘息の原因

スバッと解説!ライフ博士の喘息講座

喘息が起こる原因は諸説ありますが、代表的な説で言うと次の4つが挙げられます。
・アレルギー説
・感染説
・自律神経失調説
・精神身体要因説
実際のところ、原因は未だに分かっていません。
ただ近年は、喘息の症状=気道の炎症であると考えられるようになってきています。
喘息の患者さんの気道の粘膜には「好酸球(白血球の1種)」や「Tリンパ球」「肥満細胞」などの炎症細胞が集まっています。
これらの物質が患者さんの気道に炎症を起こしてしまいます。
ですので、慢性的な炎症となり、あらゆる刺激に対して気道の筋肉が過敏に反応するようになり、筋肉が収縮するので、発作症状が起こるようになります。

喘息を誘発するアレルギー物質

アレルゲンの種類

アレルゲンとは、アレルギーになる原因物質を指します。

喘息の発作を招くアレルギーの数は非常に多くあり、室内にいるだけでも「チリ」「ほこり」などが考えられます。

以下に身近に潜むアレルゲンを紹介します。

室内塵(しつないじん)

この言葉自体にはピンとこないかも知れませんが、皆さんが聞き覚えがあるものとしては「ハウスダスト」と呼んでいるものになります。

・ふけ
・髪の毛
・カビ
・衣類
・食べかす
・ペットの毛あるいは分泌物
・ダニ

これらハウスダストの中でも、特に多いのが「ダニ」の存在です。
ダニは生きている場合も、死骸となってもアレルゲンとなります。
ちなみに季節によっても変わってきますが、ハウスダスト1g中には、約1000匹ものダニがいると言われています。

ダニはその種類も多く約40種類となり、喘息などのアレルギー性の病気ではヒョウヒダニが問題となっています。

花粉やカビ

春先や秋など、花粉症で悩まされている方も多いかと思います。
植物の花粉もアレルゲンの1種です。

・スギ
・ブタクサ
・ヨモギ
・カナムグラ

植物の数だけアレルギーがあると言っても過言ではありません。
ですので、田んぼの「稲」やハウスで栽培されている「イチゴ」の花粉でも、喘息は誘発されてしまいます。

また、湿度の高い日本ではカビが非常に繁殖しやすく、カビによる喘息は重症化しやすい傾向にあるので注意が必要です。

日用品や食品

その他にも身近な物として、食品や寝具にもアレルゲンは存在します。

・そば粉
・小麦粉
・枕のそばがらやもみがら
・布団の羽毛

食物性のものは種別でリスクの高い食品を紹介します。

◆乳製品
・牛乳
・タマゴ

◆魚介類
・イワシ
・サバ
・たこ
・イカ

◆野菜類
・タケノコ
・ほうれんそう
・ナス

すべて挙げようとしても切りがないのでここまでにしますが、日常生活の殆どのものがアレルギーのもととなっていることは知っておくべきです。

喘息を予防するには

日常生活での注意点

喘息は発作が起きてしまうととても苦痛を感じます。
日頃から喘息を生じさせないように対策することが大事です。
ちょっとしたことでも予防に繋がりますので、下記のことを是非心に留めておいてください。

・部屋を綺麗にする(ほこりなど)
・犬や猫などのペットを飼うのはやめる
・室温や外気温の変化や湿気などから換気を心掛ける
・市販の風邪薬は控える

最後の市販薬についてですが「なぜ突然、風邪薬?」と驚く人もいるはずです。
市販の風邪薬の中にはアスピリンなどの喘息を誘発する成分がいくつか含まれているので、注意が必要なのです。
※アスピリン自体は鎮痛剤として非常に優れた薬なので、当然それ自体に害はありません。

急な喘息発作に対応するためには、常備薬として対症療法剤である吸入器が手放せません。
喘息患者なら一度は旅行先などで発作が現れ、大変な思いをされた方が少なくありません。
もしものために、お守りとして常備しておきたい薬です。

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